飛べるくらい軽くなりたい

飛べるくらい軽くなりたい

来世は蝶々に生まれたい。そして一生青虫で居たい。

・ブプロピオンを使った禁煙に関しては"こちら"に移植しました。
・コメントブコメ大歓迎です。
・個人的に読んで欲しい記事
出張が楽し過ぎたのでセミ1セミ2下戸の愚痴綿棒

第五話。エクソシスト級の恐怖(たいした事無い)。

 シリーズが感動の完結を迎えたので。全話分のリンク。







 


8日目:9月29日(木) 午前11時頃

何故か個室で目が覚める。もちろん窓際だ。
頭痛で徹夜した日以降の記憶がわちゃくちゃしている。
夢なのか現実なのかイマイチピンと来ない。
今は眼鏡を掛けていないから現実だろうか。
体はなんか繋がってるような無いような変な感覚。
部屋を見回す。窓と反対側の椅子に誰かが座っている。気がする。(ilaaはド近眼)
これも夢かな。

今日で退院だしリアルへ帰ろうと決意。
体は首までは一応動く。そこから「ぐぬぬぬぬ」と左肩まで力を入れる。
肩が浮き上がれば後は流れで「をうんんん」と力を入れればうつ伏せになれる。うつ伏せになれば夢から覚める。はずだった。
うつ伏せになっても一行に変わらない世界。座っていた人が立ち上がってこっちに来る。怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。頭が「怖い」で埋め尽くされる。自分の呼吸が速くなるのを感じる。指の先からしびれが来る。
記憶が途切れた。


また目が覚めた。仰向けの状態に戻されている。
心拍も呼吸も正常だ。薬を打ってくれたのかな。
パニック発作なんてここ何年も起こしてなかったからびっくりした。
やっぱり夢から醒められないって怖いんですかね(他人事)。


看護婦さんに眼鏡を渡してもらう。上司の奥さんが複雑な表情で私を見ている。
私だってパニック発作になった人を見たら気持ち悪いと思う。
ましてや赤の他人と二人っきりの部屋の中での出来ごとだ。
少なくともエクソシスト以上の恐怖を与えただろう。

看護婦さんを呼んでくれただけでもあり難い。
というより昨日に引き続き今日も来てくれた事に感謝せねば。と思い奥さんに感謝の意を伝える。
気にしなくていいのよーと言いつつ、奥さんの顔はまだ強張っている。ごめんなさい。

看護婦さんが血圧を測る。
体温は37度台まで下がっていた。
そして採血。何度目だよ。顔を逸らして注射器を絶対に見ない様にする。
あーあと寝てるうちにカテーテルぶっさっされてた。
あと無理矢理寝返りを打ったせいで左腕の点滴してたところがめっちゃ鬱血してて
右腕にに刺し直された
それが終わると看護婦さんは、あとで医者が来ることを伝えて部屋から出て行った。


看護婦さんが出て行くと上司の奥さんがケータイを片手に寄って来る。
私が起きたら上司に電話をするようと上司が言っていたとの事。
自分のケータイでかけますからと言ったが、家族割で通話無料だから使って。と奥さんはケータイを差し出す。
それじゃご好意に甘えます。と言って奥さんからケータイを受け取って上司の番号をプッシュ。
ちなみに上司の番号を暗記するのは社会人として必須事項である。

「ilaaです。昨日は遅くにありがとうございました」
「ああ、ええよ。んでなilaaに説明する事があるんやけど、お前今頭大丈夫か」
「あ、え、はい。」
「んでな・・・
ここからずっと上司のターンなんだけど要約すると。

どうも麻酔が効きすぎていたらしい。とのこと


病院の説明。
・麻酔の効き目が強く出たのはilaaが直前に急激に痩せたため。
・高熱が続いていて体力が残っていなかったのも影響している。
・ilaaが個人的に飲んでいた睡眠薬やブプロピオンも影響した可能性がある。
・麻酔がilaa身体に影響してないかの検査が別途必要。

ぶち切れ上司の言い分。
・ilaaは最近の体重の変化、飲んでる(飲んでた)薬、最近の体温の推移をプリントアウトして火曜日の内科医と口腔外科医に渡してある。相手が受け取ったサインも証拠として残っている。(私の職場は"証拠が命"が染み付いてるので)
・それにあわせて麻酔を調整するのが病院の仕事だろ。それができなかったなら、これはどう考えても医療ミスだ。
・麻酔の検査の代金なんて払うわけが無い。病院のミスだろ。
・つーか病院のミスのせいで人が一人死にかけてんだろ。手術費だって払わない。逆に慰謝料よこせや。
・それに入院日数伸びるんだろ。それに対しても病院からの保障を要求する。

 

もはややくざである。
最終的に本人(私)が起きてから再度話し合いましょうとの事になったそうです。
「もちろんその会話は全部録音したで」との事。徹底されてますね。尊敬します。
それで上司があまりにも怒鳴り散らした為、私は(病院の好意で)個室へ移動されたそうです。
今日の夜の6時くらいにそっち行くから関係者と責任者を呼んどけとのこと。


もちろん言いたい事を全部言ったらガチャ切り。この電話のおかげで短期記憶が生きてる事が分かった。
ケータイを奥さんに返す。そして再度奥さんにお礼を言う。んでもって昨日渡せなかったお菓子を渡す。
まぁ気にしなくていいのに。とちょっと驚いた顔をしながら受け取ってくれる奥さん。どこと無くお嬢様オーラを感じる。
考えてみれば立ち振る舞いもなんかこう綺麗な気がしてきた。なんであんな上司と…。
昨日も遅くまで申し訳ありませんと謝る。
聞けば私が上司に叩き起こされたのが8時前、そっからすったもんだが有って結局二人は8時半くらいに病院を出たらしい。
そして久しぶりにちょっと豪華なディナーを食べたのだそうだ。むしろきっかけを作ってくれてありがとうと言われた。
こういう相手を気遣った会話が出来る人になりたい。本気でそう思う。

そこからは奥さんのターン。
昨日食べたものがいかにに美味しかったかとか。
旦那(上司)とののろけ話とか。
そこで口を挟む私。「奥さんは上司のどこが好きて結婚したんですか?」と。私が長年抱えてきた疑問だ。
確かに彼は部下の扱いが上手いし、他部署との交渉も上手いし、上に立つべき人間だと思う。でもそれはあくまで仕事上の話だ。
プライベートでも四六時中一緒にいろと言われたら私なら迷わず首をくくる。
要するに私は、「なんであんな人と一緒に生活できるの?」という意味で質問したのだが、奥さんの脳内では「二人の馴れ初めから聞きたい」に変換されたらしい。
奥さんは話を始める。それこそ二人が出会ったきっかけから。
どうやら私はパンドラの箱を開けてしまったようだ。

話が長過ぎたので要約。
・頼りがいがある←まぁ分かる
・ベッドでは意外と甘えてくる←そんな情報知りたくなかった。
・夕食後には率先して皿洗いするらしい←その優しさを仕事でも・・・
・毎朝の6時に起きて洗濯、物干し、風呂掃除等までやってくれるらしい。←私の中で上司がゲシュタルト崩壊していく
・一度奥さんが「家の中の事は私がやるから気を使わないで欲しい。」と言ったことがあるらしい。それに対する上司の答え。「俺は家に帰ったときにお前がお帰りなさいって言ってもらえるだけで十分幸せだから、それ以外でお前に負担をかけたくないんだ」とのこと。←分かった!要するに上司は多重人格ってやつですね納得がいきました。

他にも医者が来るまで延々とのろけ話を聞かされました。
が、正直な話、ほとんどは適当に相槌を打ってただけなので覚えてません。
もっと早く来いよ。医者。

 

 

 

追記。分かりにくい表現があったので一部訂正しました

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